化学

ロングセラー蚊取線香ができるまで

2014年10月21日 22:50

夏になると何処からともなく飛んでくるのが蚊。昔ながらの蚊取り線香を愛用している人も多いようだ。ほとんどの人は蚊取り線香の煙に殺虫成分が含まれていると思っているが、実際にはそうではない。燃焼部分の手前で熱によって揮発する「ピレスロイド」という物質が殺虫効果を持っているのである。ピレスロイドは「ピレトリンに似た化合物」という意味。もとになった「ピレトリン」は野菊の一種である除虫菊に含まれており、約300年前に旧ユーゴスラビアの女性が庭に生えていた除虫菊の周囲で虫が死んでいるのを発見したことがきっかけで殺虫効果をもつことが知られるようになった。当初は粉末にした除虫菊が農薬として使用されたが、後に安価で大量に生産できるピレスロイドが発明され、蚊取り線香のみならず家庭用の殺虫剤のほぼすべてに使われるようになった。ピレスロイドは、昆虫に対して高い殺虫効果がある一方で、恒温動物にはほとんど無害であり、しかも、自然界で早く分解される。まさに理想の殺虫剤なのだ。
ちなみに、蚊取線香の産みの親は和歌山県出身の上山英一郎。日本への除虫菊の招来栽培に力を入れた上山は線香に除虫菊の粉末を練りこんだ蚊取り線香を開発。1890年に発売開始した。この蚊取り線香は仏壇線香と同じ棒状だったため燃焼時間が短かった。悩む夫に「渦巻き型にすれば」という案を出したのが妻のゆきであった。7年の研究の末、1902年に今の渦巻き型を発売した。
2011年、蚊取線香は「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を授与された。概要には、商品の「プロデューサー」「ディレクター」として上山英一郎の名が、「デザイナー」として上山ゆきの名が記載されている。

「蚊取り線香」
「THE MAKING (52)蚊取り線香ができるまで 」
「蚊に蚊取り線香が効くか試してみた 」
「ピレスロイド」
「ピレスロイドの特長は?」
「蚊取り線香の発明(上山英一郎)」

<前の記事【】 次の記事【】>