楽校コラム

「宇宙空間で宇宙人や宇宙怪獣を発見したら、すぐ国連に報告しなければならない、と条約で定められている」

2014年10月22日 17:44

人類が宇宙に進出しているこの時代、もし宇宙空間で他の知的(知的でなくても)生命体に遭遇したら……というテーマは、SF映画で何度も形を変えて描かれている。名作とされる『2001年宇宙の旅』や、『エイリアン』などもその状況を描いた作品だ。

アポロ11号が月に到着した1969年からちょうど10年たった1979年、国連の総会で、『月その他の天体における国家活動を律する協定』(略して「月協定」)という条約が採択された。これは、それに先立つ1966年に採択された『月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約』(略して「宇宙条約」)をさらに発展させたもので、月をはじめとする天体の探査について、それが平和目的にそったものでなくてはならないこと、軍事基地などの建設や大量破壊兵器の設置を禁ずることなどを規定している。

例えばその月協定の第9条の1には、
「(この条約の)締約国は、月面上に有人及び無人の基地を設置することができる。基地を設置する締約国は、その基地に必要な地域に限って使用するものとし、国際連合事務総長に対し、直ちに、基地の場所及び目的を通報するものとする」

とある。よくSFやアニメに「月面の秘密基地」というのが出てくるが、条約においては基地の場所や使用目的は全て国連に対し報告義務があり、秘密に作ってはいけないのである。

そして、その月協定の第5条の3に、
「締約国は、この協定の下で活動を実施するうえで、月を含む宇宙空間において人間の生命又は健康に危険を与える現象並びに生命の兆候を発見したときは、直ちに国際連合事務総長並びに公衆及び国際科学界に通報するものとする」
とある。『エイリアン』で宇宙船に乗り込んでいたアンドロイド・アッシュはエイリアンが発見されると、これを秘密のうちに捕獲して回収しようとしていた(宇宙船の持ち主である企業の命令によるもの、という設定だった)が、これはあきらかな条約違反になるわけだ。

宇宙を平和と、地球人類全体の発展のために使おうという高い理念のもとに規定されたこの月協定だが、残念ながら現在、これを締約している国々はわずか17カ国に過ぎず、アメリカやロシア、中国など、実際に有人宇宙飛行を行っている国は一カ国も締約していない。やはり、自国の利益や軍事産業への利用という目的でないと、宇宙も開発が進まないということだろう。夢のある法律なだけに、実に惜しい、という気がする。

『宇宙法』
http://www.jaxa.jp/library/space_law/chapter_2/2-2-2-20_j.html
「宇宙条約」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%9D%A1%E7%B4%84
「月その他の天体における国家活動を律する協定」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%88%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E5%A4%A9%E4%BD%93%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%82%92%E5%BE%8B%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8D%94%E5%AE%9A

<前の記事【】 次の記事【】>