楽校コラム

「“サハラ”も“ゴビ”も“砂漠”という意味」

2014年10月24日 21:56

「花見」と言えば、桜の花を見ることである。梅や菊ではない。これは、ほとんどの日本人が桜を日本の花の代表、と思っているからだ。同様に、富士山近辺に住んでいる人たちは、いちいち「富士山」とは呼ばず、「お山」「山」で済ますという。日本一の山である富士山が見える場所で、他の山を山、とは呼ばないということである。

同じことは海外でもあるようで、例えば北アフリカの人たちにとって、砂漠と言えばサハラ砂漠のことである。アフリカ大陸の三分の一をしめる広大な砂漠のことを、他の砂漠と区別して呼ぶ必要性を現地の人々は感じなかったようで、ただ「砂漠(荒地)」と呼んでいた。砂漠のことをアラビア語で「サハラ(サハラーゥ)」と呼び、それでことが足りていた。つまり、砂漠=サハラであり、英語でも「The Sahara」である。そのような広大な砂漠という概念がない日本では、サハラを固有名詞だと思い、その後につける必要のない「砂漠」とつけている。つまり「サハラ砂漠」は「砂漠砂漠」という意味なのである。

これはモンゴルにあるゴビ砂漠も同様で、ゴビとはモンゴル語で「砂漠」の意味。やはり「ゴビ砂漠」では「砂漠砂漠」になってしまう。もっとも、ゴビのことは中国で最初に「瀚海沙漠」または「戈壁沙漠」と中国の漢字にゴビという発音を当てて表記されていたので、日本でのゴビ砂漠表記はそれをそのまま引き写した可能性が高い。

こういう、同じ意味の言葉が重なることを“畳言(じゅうげん)”と言い、探せばいろいろと日常の中で見つかる。クーポン券という言葉の“クーポン”は“券”を表すフランス語なのでクーポン券は“券券”だし、スキーはノルウェー語で“薄い板”の意味なので、“スキー板”では“板板”になってしまう。たいてい、日本になじみの薄い言語で畳言になる場合が多い、と思ったら、このあいだ「ネットバンク銀行」という表記があった。言うまでもなく、“バンク”は英語で“銀行”である。諸君も注意して、こういう畳言を見つけ出してみたらどうだろうか。

「重言」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8D%E8%A8%80
『国(地域)名とその表記方法について』
http://uub.jp/arc/arc338.html

<前の記事【】 次の記事【】>