楽校コラム

動物には、ときどき食べ物の好みが変わるメカニズムが備わっている

2014年12月4日 16:16

例えばライオンは肉しか食べないが、食べる動物の種類は選ばない。一番ライオンが狩りやすい動物は同じサバンナに住むインパラやキリンだが、他にもさまざまな動物、時にはカバなどを狩って食べた例も記録されている。
これがサルなどになるともっと食べ物の幅は広がり、果物や穀物、木の若い葉っぱ、シロアリなどの昆虫類まで食べ物にする。
一方で、生涯を通じて、ほぼ一種類の食物しか食べない動物もいる。アリクイはアリだけを食べて一生を終わるし、パンダは竹がほぼ唯一の主食だ。ただし、そんな動物でも、動物園で人に飼われると、かなり食物の幅が広がるので、必ずしもその食べ物しか食べられない、というわけではない。日本の動物園ではパンダには竹の他にふかし芋やトウモロコシで作った団子を与えているというし、アリクイにはドッグフードをすりつぶして牛乳とまぜたものなどを与えている。例外はコアラで、彼らはかたくなにユーカリの葉しか(それも300種類ほどあるユーカリの木の中の30種類くらい)食べず、なので動物園ではコアラのためにユーカリの木を栽培せざるを得ず、そのため1年間の一頭あたりのエサ代が800万から1000万円かかるという。
なぜ、食べ物を変える動物と変えない動物がいるのか。動物が時々、食べ物の好みを変えるのは、動物行動学の世界では「食物バラエティメカニズム」と呼ばれている現象だという。これは、野性の状態で、「1種類の食べ物ばかりしか食べないと、もし、その食べ物が取れない状況になった場合、生命の危機に陥る危険性があるため、不定期に、違う食べ物を食べるようになる」というメカニズムのことだ。
確かに、ライオンがインパラしか食べなかったとしたら、伝染病などでそのサバンナに住むインパラが全滅したとき、ライオンも全滅しなくてはならないはめになる。たとえ、多少マズくても、カバを食べる訓練をしておくことも必要なのだろう。
では、なぜアリクイやパンダは、他のものも食べられるのに一種類の食べ物に固執するのかと言えば、進化の歴史の中でそれしか食べられない時期が長く続き、そこに固定してしまった、という状況があったと思われる。コアラなどはその極端な例で、どうにも変えられないまでになってしまったのだろう。
この食べ物の好みの変わる現象は飼い猫などにも見られる。一種類のキャットフードばかり与えていると、昨日まで大喜びしていたものに、今日は見向きもしない、という状態になる。これも食物バラエティシステムだと思っていい。キャットフードの種類があれだけあるのも、こういう猫の野性の残り
香のせいなのである。

『にゃーるほど ねこの好物が変わった』
http://www.geocities.jp/forestcat_norwegian/suki/suki4.html

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