地理

山頂にある「三角点」の正体

2014年8月29日 11:44

山に登り、「三角点」と書かれた石(*1)を目にしたことがある人は多いだろう。三角点は地図を作成するために測量を行う際の基準となる点のことで、他の点との位置関係や絶対的な位置が正確に測定されている。一等から四等までの4種類があり(*2)、その数は10万以上。ちなみに一等三角点は約1000点ある。

国土地理院発行の地図にある三角記号の記号は三角点を意味している。三角点の名は、三角形の一辺の距離と二つの角の角度を知ることにより、他の二辺の距離を計算で求める「三角測量」に由来する。もっとも近年はGPS等を使って測量するケースが大半であり、三角測量が行われることは少ない。
山登りを趣味とする人の中には、単に頂に登っただけでは満足せず、三角点を確認する人も多い。文化人類学者で京大名誉教授だった今西錦司もその一人。彼を顧問とした一等三角点を探訪する同好会は2007年に「一等三角點研究會」としてあえて旧字体のままの表記で復活、再編され、今も活動を続けている。最も活動的な会員は960の一等三角点を踏破した。また、「亡失」とされていた新潟県魚沼市の「谷川富士」の三角点を2005年に発見した会員もいる。2011年、会員たちが自ら探訪した『登山案内 一等三角点全国ガイド』が発行された。

*1 標石と呼ばれる。等級により大きさも決まっている。国土地理院が公表している大きさは、以下の通り。
標石各サイズ
http://kansekimanpo.okunohosomichi.net/mame_hyoseki_kozo.htmlより

隠れている部分も含めてこんな恰好をしている。
三角点標石図

標石はほとんどが花崗岩でできている。国土地理院は重量を公表していないが、一等三角点標石の重さは、柱石が約90kg、盤石が約50kgと推定される。(*3)

標高2,000m以上の高山にこれを運び上げるには相当の苦労があったようだ。私たちが通常見ているのは、標石全体のほんの一部でしかない。上部から順に、柱石、盤石、下方盤石(1等だけにある)があり、平地部などには4つの防護石もある。盤石と下方盤石は、もしものために復元できるように設置したもので、それぞれの中心線が一致している。ただし、高山地などでは下方盤石がないものもある。 たとえ、柱石が破壊されても、必ず復元できるように細心の工夫がしてあった。これだけ、大切にしていても、明治以来の三角点の中には、いつしか失われてしまい、場所さえ分からなくなったものがある。
その設置の困難さと、役目を勤め上げた健気さと、忘れられようとしているはかなさが、人々を三角点にひきつけているのかもしれない。

*2 三角点の等級 山のランク付けをするものではなく、設定された順番により、決まった。
一等三角点は、明治時代、最初の測量で決められた1辺が約40kmの三角点。まずこれらで日本全国を覆い、これを基にもっと小さい三角形で精密に測量していった。2等は約8km。3等が約4km。この3等で基本的な地図である五万分の一地図が出来た。第2次大戦後、占領軍の指示で土地の所有をはっきりさせるため、1辺約2kmで測量したのが4等三角点。

*3 重さは、花崗岩の密度2.5~2.8(g/cm³)より、推定した。
柱石の場合、
2.5~2.8(g/cm³)×柱石の体積(21×21×82=36,162cm³)=90.4~101.3kg
盤石の場合、
2.5~2.8(g/cm³)×盤石の体積(41×41×12=20,172cm³)=50.4~56.5kg

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「一等三角点の写真 – 新潟県」

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