保健体育

大相撲の賜杯には「大正十六年」の文字が刻まれている

2013年12月6日 19:25

大相撲の本場所で優勝した力士に贈られる賜杯。重さは29キロあり、銀でできている。1925年(大正14年)、後に昭和天皇となる摂政宮の誕生日に、東宮御所で皇族を前に相撲が行われた。その際に下賜金として贈られたお金をもとに作られたのがこの賜杯だ。スポーツの大会には「天皇杯」「宮杯」がいくつかある。これらは宮内庁から贈られたものだが、実際に皇族のお金で作られたのは大相撲の賜杯だけだ。当時の大相撲は東京角力協会が運営していたが、興行団体が賜杯を使うのは問題として、財団法人大日本相撲協会が発足(1966年に、日本相撲協会に名称変更)した。ところが、刻印された菊の紋章が法令に反すると宮内省・内務省・警視庁が協会に警告。いったん鋳つぶされたのちに、現在の賜杯が誕生した。ところがこの賜杯には、「大正十六年四月二十九日」という日付が刻まれている。使用許可の遅れを見越して文字を刻んだが、予想以上に早く大正時代が終わってしまったためらしい。この点について警告がなかったというのも面白い。賜杯が生まれた背景には、好景気を背景とした大正時代の明るい世相がある。昭和になった直後、金融恐慌が起こり作り直すどころではなくなったのであった。

(参考 朝日新聞2013年9月14日)

 

「大相撲」

「賜杯」

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