保健体育

マラリア撲滅のために、遺伝子操作で蚊をオス化!?

2014年10月21日 23:16

マラリアは、年間約2億700万人がかかり、そのうちの約62万7,000人が死亡する感染症だ。(*)死亡者の大部分は、サハラ以南のアフリカに暮らす5歳未満の子どもたちである。
マラリアを引き起こすのは、細菌やウイルスではなく、マラリア原虫であり、人を発症させるものは4種類あり、それぞれによって症状は異なる。
マラリア原虫は、蚊の一種であるハマダラカの唾液腺にスポロゾイト(胞子の一種)として集積している。メスのハマダラカは血を吸う際に、血が固まらないようにするための成分を含んだ唾液を注入する。そのときにスポロゾイトが人体に侵入する。
これまでの予防策は、長袖の服を着たり、虫よけ剤を皮膚に塗ったりして、蚊に刺されることを防ぐことだったが、ロンドン大学インペリアルカレッジなどの生物学者チームが2014年6月、斬新な対策を発表した。このチームは、オスの蚊の胚の遺伝子を組み替えることによって、成虫で作られる精子のX染色体が正常に機能できないようにした。X染色体は子孫の性別をメスに決めるものなので、大半の精子はオスを作るY染色体だけを運ぶことになる。したがって、メスは生まれにくくなる。
研究チームは、今回の研究で、5個のケースにそれぞれ遺伝子を組み換えた雄の蚊50匹と通常の野生の雌50匹を入れ、遺伝子操作の実験を行った。その結果、6世代で個体群を全滅させることに成功した。ハマダラカを全滅させて、マラリアを撲滅できれば多くの命を救うことができる。しかし、環境保護論者からは、遺伝子組み換え種を自然に放つことによる悪影響があるのではという意見も出ている。

(*)2013年12月に公表された国連の世界保健機関(WHO)による最近の推計。マラリアによる死亡者は、2000年以降、世界で45%減少し、アフリカでは49%減少しているが、根絶するには至っていない。

「マラリア」
「IDWR: 感染症の話 – 国立感染症研究所 」
「ハマダラカ」
「スポロゾイト」
「【生物工学】マラリア対策で蚊を遺伝子操作、子孫の95%雄に…実験では6世代以内に全滅 英研究」
「マラリア対策で蚊を遺伝子操作、子孫の95%雄に 英研究」
「ハマダラカがマラリアにかからないのはなぜ?」

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