家庭

最古のチーズ「ジャミード」は偶然から生まれた

2014年5月11日 00:21

今ではすっかり日本人の食生活に浸透したチーズ。そのルーツとなったのは、アラブの砂漠で暮らす遊牧民・ベドウィンがつくる「ジャミード」だ。羊の乳を桶に入れ、4日間放置した後、山羊の皮袋に入れ、1時間近く振る。その後、水分を切り、保存のために岩塩を加え、日光で乾かす。こうして完成したジャミードは、石のように固く、10年はもつという。
アラビアの伝説では、ジャミードの起源について「羊の胃袋でつくった水筒に、山羊の乳を入れて出発した旅人が、その夜、水筒を開けてみると澄んだ水とともに白い塊が出てきた。塊を食べてみるとびっくりするほどの美味しさだった」と語られている。乳酸菌が繁殖しやすい気温は摂氏30~40度。砂漠の熱さで、乳酸菌が大量に繁殖し、乳が酸性になり、羊の胃袋から出てきた凝乳酵素(※)と混ざり、ラクダの背で揺れ動くうちにタンパク質と水分が分離されたというわけだ。
ジャミードから始まったチーズは、各地に広がり、進化を遂げ、今や世界で実に2000万トン以上生産されている(2010年)。ちなみに日本では26万トンが消費されているが、国民一人あたりの消費量2kgは最も多いギリシャの15分の一以下、フランスやドイツの10分の1以下である。

※凝乳酵素:母乳の消化のために数種の哺乳動物の胃で作られる酵素の混合物。
たんぱく質のカゼインに働いて乳を凝固させ、熟成中にたんぱく質を分解し、組織や風味を生成する働きをするチーズづくりに不可欠な酵素。
乳中でカゼインなどの蛋白質は−の電気を帯びており、反発し合って凝集することは無い。このためカゼインミセルはこのままでは沈殿しない。
ここで凝乳酵素を加えると、カゼインに作用してその結合を切断する。結果、カゼインは浮遊力を失って不安定になる。そして−の電気が弱まったカゼイン同士がカルシウムイオンを介してくっつき、脂肪球と共に沈殿凝固する。これが乳の凝固=チーズが出来る原理である。伝統的には子牛の第4胃袋(ギアラ)からとるものが用いられたが、現在では、微生物から生成されたものが主流になっている。

「ベドウィン」
「人間は何を食べてきたか「第3集 遊牧の民の遺産 ~乳製品~」(NHK教育1985年)」
「DVD 人間は何を食べてきたか 8巻セット」
チーズの輸入:横浜税関

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