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ツクツクボウシはツクツクボウシと鳴くとは限らない

2014年7月1日 19:09

「女郎花(おみなえし) なまめきたてる 姿をや 美し佳しと 蝉の鳴くらん」
(訳:みずみずしく美しい女郎花が咲いている。蝉も「美しくてよい」と鳴いているのだ)

平安後期の歌人、源俊頼の歌である。しかし、「美し佳し(ウツクシヨシ)」と鳴く蝉はどんな種類なのだろうか。答はツクツクボウシである。強引すぎると思われるかも知れないがこんな例もある。

「この世をば つくづく憂しと 鳴き捨てて またいかさまに 身をばかえけむ」
(訳:この世がつくづく憂し(辛い)と言って世を捨てたあの蝉は、今度はどんな姿に身を変えたのだろう)
詠ったのは江戸後期の歌人・香川景樹。鳴き声を「ツクヅクウシ」と聞いている。

入相の 鐘より暮れて 秋行くを つくづくをしと 蝉の鳴くらん
(訳:夕暮れに鐘が鳴る。夏が過ぎ、秋になるのがつくづく惜しいと蝉がないている)
この歌を詠んだのは江戸中期の俳人・小林一茶。鳴き声を「ツクヅクオシ」と聞いている。

こうしてみると、「いかに聞くか」というのが一つの才能のように思える。ちなみに平安時代から鎌倉時代にかけては、「ツクツクボウシ」のことを「クツクツホウシ」と呼んでいたそうである。

「香川景樹」
「香川景樹 千人万首」
「小林一茶」
「一茶の俳句集」
「セミの鳴き声図鑑」

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