物理

町工場の技術を生かしてスペースデブリを除去

2014年2月19日 13:15

「スペースデブリ」と呼ばれる宇宙のゴミの問題が深刻化する中、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が除去に向けた画期的な取り組みを2014年から開始する。その陰には、町工場の奮闘があった。広島県福山市に本拠を置き、漁網などを生産している日東製網にJAXAから、「金属で網が組めますか?」という問い合わせがあったのは2004年のこと。JAXAでは、デブリに長さ数キロの網状ワイヤ「導電性テザー」を取り付けることで地球に落下させる方法を検討していた(大半のデブリは落下中に摩擦熱で燃え尽きる)。「導電性テザー」が地磁場を横切り地球の周りを周回すると誘導起電力が発生する。「導電性テザー」の両端で地球周りのプラズマと電子をやり取りさせてやれば、回路が構成され電流が流れる。電流が流れると、地磁場との干渉でローレンツ力が発生。これが進行方向と逆向きに働くから移動速度を落とすという計画だ。協力先を探して、メーカーに電話をかけまくったが、相手にされず、ようやく対応してくれたのが日東製網だった。とはいえ同社にとっても想像以上の難テーマだったようだ。材料として提供された太さ0.1 ミリのアルミ線は折れやすく、100mの注文に1mしか納入できないこともあった。同社の技術者・尾崎浩二さんは「引き受けてから10年。商売にならなくてもものづくりのプライドだけで続けました」と語る。実験が成功し、日本の町工場の底力が証明されることを期待したい。

(参考 毎日新聞2014年1月9日)

「宇宙ごみを漁網で一網打尽 広島の老舗とJAXA開発中」

「漁網で宇宙ゴミを回収!? 世界が注目する日本の最新技術とは」

「JAXA:デブリ除去システム―導電性テザー」

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