世界史

ジャガイモ飢饉がなければ、ケネディ大統領は誕生しなかった

2014年2月19日 13:18

ヨーロッパ諸国の中で、もっともジャガイモと関わりが深いのがアイルランドだ。この国の厳しい気候や土壌でもジャガイモはよく育った。また、18世紀のアイルランドはイギリスの強い影響下にあり、アイルランド人農家はイギリス人に土地を没収され、小作農になった。ムギなどを栽培する場合、小作農は地代を払わなければならなかったが、ジャガイモについては払わなくてよかったことから、ジャガイモ栽培が盛んになった。アイルランドとイギリスの対立は、宗教的な側面も大きい。(アイルランドはカトリック、イギリスはプロテスタント)。18世紀の半ばには、アイルランドの食生活におけるジャガイモの比率は極端に高まる。「ここでは一年のうち、10カ月はジャガイモとミルクだけで過ごし、残りの2カ月はジャガイモと塩だけを食べている」と旅行者が記すほどであった。そんなアイルランドを襲ったのが大飢饉。ジャガイモの原産地のアンデス地方では、ひとつの畑にいくつもの品種を混ぜて栽培する習慣が伝統的に存在し、これが特定の病原菌の蔓延(まんえん)による飢饉を防いでいたのであるが、当時のヨーロッパでは収量の多い品種に偏って栽培されており、遺伝的多様性がほとんどなかった。そのため、1種類のジャガイモ疫病の流行により、壊滅的な打撃を受けたことで、食糧不足が深刻化。飢えや栄養不足による死者が急増した。1845年から始まった飢饉はその後、数年にわたって続いた。この間に祖国に見切りをつけ、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドにわたった人は150万人に達する。イギリスに渡った人たちは工場労働者として産業革命の担い手となり、アメリカに渡った人たちは経済と政治に活路を見出していく。その一人が、第35代アメリカ大統領、ジョン・F・ケネディの曽祖父である。ちなみに、ジョン・F・ケネディはアメリカで初めてのカトリックの大統領でもある。

(参考 『ジャガイモの来た道』 山本紀夫)

「ジャガイモ飢饉」

「カトリック」

「プロテスタント」

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