数学

ナチスからイギリスを守った悲運の数学者(その1)

2014年9月12日 18:12

「エニグマ」という言葉を聞くと、漫画やミュージシャンを思い起こす人が多いかもしれない。もともとは古代ギリシア語で「謎」、「なぞなぞ」、「パズル」などの意味。ナチスドイツが使った暗号機の名である。このエニグマはもともと商用に開発されたが、あまりにも値段が高く、まったく売れなかった。しかし、ドイツ軍が「アルファベットの暗号化が一兆の一万倍通り」というその性能に注目した。ドイツ軍は軍の軍事行動の連絡を、エニグマを使って暗号化。第二次世界大戦が始まると、ドイツ軍は瞬く間にデンマークとノルウェーに進行。1940年にはパリを占領した。さらにドイツ軍はイギリスの輸送船を次々と撃沈。秘密裏に行動するドイツ軍の潜水艦や戦車隊、航空隊に反撃できる国はなかった。ドイツ軍の侵攻を支えたのはエニグマだった。
この危機を救ったのが、数学者アラン・チューリングをリーダーとするイギリスの解読チームである。1940年の前半は、毎月30万トンほどの軍艦、商船が沈められていたが、暗号が解読出来たことで、ドイツの攻撃を察知して行動したため、11月には6万トンに減少。その後、いったん作戦を中断したドイツ軍がさらに強力な暗号を開発したため、1942年には再び大打撃をこうむったが、チューリングらはこれらも解読し、1943年の1月から5月までにはUボートを100隻撃沈した。チューリングはまさにイギリスを救ったのである。
しかし、そんな彼を悲運が襲った。それは……(その2)に続く

(参考 『天才の栄光と挫折』 藤原正彦)

「エグニマ」
「アラン・チューリング」

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